日本人はすっかり地政学オンチになってしまった。
たとえば60年代から現在まで続く、一連の日本政治スキャンダルの数々。アメリカやソ連、中共などの、地政学の理論にのっとった対外戦略が裏にあること
を、もし優秀な日本の人材が地政学の基礎をしっかり勉強さえしていれば、ほぼ大筋、読めたはずである。地政学を本当に理解しているジャーナリストや知識人
がいれば、国民の中にもメディアの雰囲気にだまされることなく冷静にモノを考える人を育てることができたはずである。
ところが見るも無惨な結果で、首相の首は何度もすげ替えられる。政府の目標は定まらない。政治低迷の根本的な原因を、日本の知識人はアメリカやソ連、中
国などの戦略・思想を無視し、ひたすら「国内要素」だけからしか分析できなくなってしまった。まさに日本の知識界は戦後になってからは「井の中の蛙」であ
り、その悲惨さは戦後の焼け野原同然と言ってもいいだろう。
これも単純に「軍国主義だ!」とカンちがいをして地政学をアメリカに奪われ、自らも地政学の研究・言及を怠ってきた日本の知識人たちによる、あまりに潔癖な戦後平和主義教育の
おかげである。「平和維持のためには普段から戦争の研究をしておく」という、一見矛盾したこの世の鉄則を、日本はすっかり忘れてしまっている。
奥山真司『地政学 ★アメリカの世界戦略地図』プロローグより
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いやはや、、おもしろいワ。
ナ